春の眠りと樹木の香り

2024.03.07 Thu

 

3月になり寒さもやわらぎ春の陽気が感じられる日も多くなりました。

 

ぽかぽか陽気の暖かい日もあるかと思えば、真冬並みの寒い日もある3月は、1年のなかでも寒暖差の激しい季節。寒暖差に体が対応しようと頑張るため自律神経が乱れやすくなります。自律神経が乱れ交感神経と副交感神経のバランスが崩れるため睡眠にも影響がでやすくなる時季、ぐっすり心地良く眠れていますか。

 

今回は眠りと樹木の香りのお話です。

 

 

フィトンチッド

 

森林浴には心身を癒す効果があるといわれていますが、フィトンチッド(Phytoncide)の効果によるものであると言われています。 フィトンチッドとは、樹木などが発散する化学物質のことで、森林に漂う精気や香りとして感じることができます。森の香り=フィトンチッド。

 

ロシア語のフィトン=「植物」、チッド=「殺す」からきている言葉で、植物にとって有害な昆虫や微生物(菌・細菌)から身を守るために作られた物質を指します。樹木系の精油には抗菌、抗真菌(真菌=カビ)作用を持つ精油が多くあることと結びつきます。

 

フィトンチッドの効果については様々な実験が行われており、例えば・・・

・脳内のα派の発生を促し、精神を安定させる
・自律神経を安定させる
・交感神経の興奮を抑え、不眠を解消し快適な睡眠をもたらす
・脳の活動や血圧を鎮め、怒りや緊張を和らげる
などの研究がされ、効果が明らかになっているようです。

 

森にでかけなくても精油の香りを嗅ぐことで森林浴のような嬉しい効果を得られるなら、精油を活用したいところですね。

眠りにオススメの樹木の精油をご紹介しますので、心地良い眠りのサポートにお役立てください。

 

 

 

 

「ヒバ」

 

学名:Thujopsis dolabrata
科名:ヒノキ科
主な生産地:日本
抽出部位:葉、木部
抽出方法:水蒸気蒸留法

 

ヒバは、アスナロの変種とされており、「ヒノキアスナロ」が正式名称です。一般的に「ヒバ」と呼ばれることが多いようですが、特に青森産のヒノキアスナロが「ヒバ」と呼ばれています。抗菌剤、防腐剤等として医薬品や化粧品などに使用されているヒノキチオールという成分が多く含まれており、耐久性が非常に高いため古くから建築材として使用されています。

 

高級木材ヒノキに対し「明日はヒノキになろう」という前向きな意味があるヒノキアスナロという名前のヒバですが、「ヒノキチオール」はヒノキには含まれておらず、ヒバに多く含まれていますので、ヒバの精油はヒノキに劣らず素晴らしい精油です。

 

ヒバ精油の香りは、針葉樹特有のシャープな清々しさと木材の硬質感がある香りで、ヒノキと比較すると硬く力強さがあります。ヒノキが女性ならヒバは男性で力強い包容力を感じる香りです。

好みがわかれる香りですが、大きな懐で優しく力強く守ってくれるような包容力ある香りで深い安堵感を与えてくれるような香りです。

 

青森ヒバは、秋田スギ、木曽ヒノキと並ぶ日本三大美林とされていますので、ヒバの香りを嗅ぐと青森県の針葉樹の森で深呼吸しているような心地よい気分になります。

 

心を落ち着かせてくれるヒバの香りでぐっすりおやすみモードへのシフトチェンジできそうです。

 

 

 

 

「シダーウッド・アトラス」

 

学名:Cedrus atlantica
科名:マツ科
主な生産地:モロッコ、フランスなど
抽出部位:木部
抽出方法:水蒸気蒸留法

 

シダーウッドには、シダーウッド・アトラスのほかに、シダーウッド・バージニア(学名 Juniperus virginiana)があり、モロッコのアトラス山脈原産のアトラスはマツ科、アメリカ原産のバージニアはヒノキ科で特徴や香りもまったく異なるものです。

一般的にシダーウッドというとシダーウッド・アトラス精油を指していますが、香りがまったく異なるバージニアと間違って購入しないよう学名を確認して購入するようにしましょう。

 

シダーウッド・アトラスは、松ヤニのような甘くとろみのある落ち着いた樹木の香調で、優しい母性に包まれているような温かい気持ちになれる香りです。

 

シダーウッドに含まれているリラックス成分セドロールついては、交感神経系の活動や精神緊張を低下させる作用があることや、睡眠に早く入り深い眠りが持続することが報告されています。

甘くウッディなシダーウッドの香りは、ゆっくりと深い呼吸をしたくなるような香調で心の緊張を解きほぐしてくれます。

 

 

睡眠にはラベンダー精油の香りがもっとも人気ですが、樹木の香りもお試してみてください。お好みに合わせて樹木の香りとラベンダーをブレンドして使用するのもオススメです。

 

2024年開運の香りでご紹介したヒノキの香りも、夜のリラックスタイムに良い香りです。

「2024年開運の香り」

 

 

使い方は芳香浴がオススメです。アロマディフューザーやアロマストーンなどを使って芳香させますが、専用芳香器がない場合は、ティッシュやコットンに精油を垂らして枕元に置いてみてもOKです。(精油が直接肌に触れないよう気を付けてご使用ください。)

寝る時にディフーザーの音が気になる場合は、寝る前にスイッチ切ってからお布団に入りましょう。

 

 

樹木の香りを漂わせ、小川のせせらぎと小鳥のさえずりのBGMを流せば、森林浴ムードも高まり心地よい気分で眠りにつけそうです。

 

 

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\この記事を書いた人/

大原万喜子
アロマインストラクター、アロマ空間デザイナー、ハーバルプラクティショナー
アロマ専門店「アロマブルーム」を運営する株式会社フォーシーズHDの商品企画を担当


<注意点>アロマセラピーは医療ではありません。ブログ内に掲載されている内容は、精油の効果効能、心身の不調改善を保証するものではありません。予め了承ください。持病をお持ちの方、妊産婦やお年寄り、お子様に使用する場合や、既往症のある方、その他使用に不安のある方は、専門家や専門医に事前にご相談の上でご使用ください。


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