お香の楽しみ

2023.11.23 Thu

 

季節は深まり、冬に向けて急ぎ足。

今回は、奥深く温かなお香の世界をご紹介します。

 

 

 

 

 

「香木」

 

「樹木の宝石」と言わしめる、香木。

 

読んで字のごとく、香りのする木のことで、お香の要となるものです。

 

日本人と香木の初めての出会いは、淡路島の海岸に香木が流れ着いたのを発見した時とも、仏教伝来の時とも伝えられています。

 

日本の香文化に根付く代表的な香木に、沈香と白檀があります。

どちらも深く心を深く落ち着かせる香りで、精神性を高め、身を浄めたり邪を払う香りとして用いられてきました。

 

 

沈香

 

 

沈香は、沈水香とも呼ばれます。

沈香樹の内部に樹脂が溜まり沈着した部分が香の素材ですが、

その樹脂部分の密度により、重ければ水に沈むことに由来しています。

 

実際には樹脂の溜まり方や密度によって沈まないものもあり、沈香であることの完全な証明や質の判断材料にはならないそうです。

 

産地も同属の樹木の種類も多く、香りの性質も様々に分類されていて、その判別に関しても非常に専門的です。

 

受け継がれてきた伝統的な「六国五味(りっこくごみ)」という香木分類の基本では、沈香の中でも最上品とされるものを、「伽羅(きゃら)」と名付けています。

 

 

写真元出典;『香木のきほん図鑑』山田英夫著 世界文化社

 

 

 

白檀

 

 

一方、白檀は、樹脂ではなく木の中心部(芯)そのものが香り、芯材(心材)のみを取り出し香料とされます。

心材が香るのは中に精油を含むためで、この精油は英名「サンダルウッド」。

アロマテラピーや香水のベースに使われる香りとしても有名です。

 

 

 

 

 

 

お香の香りいろいろ

 

 

沈香や白檀の香木の香りは、奈良や平安のいにしえの時代から珍重され、日本の香文化の核となる香り。

 

多くの伝統的な香には沈香や白檀の香りが含まれますが、

他にも様々な芳香植物の粉末や樹脂、動物由来の香料、近年ではアロマテラピーで利用されるようなハーブや柑橘などの香りの精油を練り込んだものまで、

無限の香り表現がお香の世界を彩ります。

 

 

動物由来の香料で代表的なものには、麝香(じゃこう)や竜涎香(りゅうぜんこう)があります。

 

麝香は、ジャコウジカのオスの分泌腺(香嚢)、竜涎香はマッコウクジラの体内で形成される結石のようなものです。

 

人々の心をとらえるこれらの特有の深い香りは、同じく西洋の香水文化の中でも「ムスク」や「アンバー」と呼ばれ人気を博してきましたが、

現在はワシントン条約や自然環境や野生動物保護などの観点から代替香料の使用が進んでいます。

 

 

 

また、お香とアロマテラピーや香水香料に共通する香りは他にもたくさん。

お香の香料となる「没薬」は天然香料のミルラ、「乳香」はフランキンセンス、「安息香」はベンゾインです。

 

他にも多くの香り原料がお香と西洋文化における天然香料とで共通していて、香りの魅力は世界共通ということを実感します。

 

 

 

 

 

そして、お香の香りに用いられる香り原料の多くは「薬種」ーつまり元々は生薬として体調を整えたり病の治療をしたりする目的で利用されてきたものがほとんど。

 

香を焚くことは空間の浄化や様々な心身の変化をもたらすことでもあり、この点でもお香の文化は西洋のアロマテラピーと共通する面があります。

 

 

 

 

 

お香の形いろいろ

 

 

お香と聞いて浮かぶ馴染みのあるイメージは、香皿に立てたスティック型のものかと思います。

 

これはタブや杉の木の粉末をつなぎにして香木やその他の香り原料を練り混ぜて固めたものですが、

スティック型の他にも、コーン型、渦巻き型、色々な形に型抜きした落雁のような「印香」など、様々な姿形のものがあります。

 

 

 

 

 

使い方いろいろ

 

 

お香は、香りや形だけでなく、楽しみ方もいろいろです。

 

お香立てに立てて火をつけたり、香枦(こうろ)で焚いて香りを楽しむだけでなく、

 

常温で香る香木や香料を混ぜ合わせて袋に詰め持ち運べる「匂袋(においぶくろ)」や、

 

封書にさりげなく忍ばせて手紙と共に香りを届けるための「文香(ふみこう)」

 

粉末状にしたお香を手や首などにつけて身に付ける「塗香(ずこう)」など…。

 

 

仏教の習わしや、武士や貴族の時代といった文化の変容とともに、香木の香りは変わらず受け継がれ、そのたしなみ方や香りの在り方は様々に進化してきたのです。

 

 

 

 

 

 

お香を気軽に楽しんでみる

 

 

お香の焚き方ひとつにも実は様々な方法があり、長い歴史の中で育まれてきた文化だけあって伝統的な奥深さを感じますが、香りの楽しみ方は自由なもの。

 

せっかく豊かな香りがそこにあるのですから、まずは気軽に楽しんでみましょう♪

 

 

含まれる香りの種類も配合も複雑で多様なお香の香りですが、その香りの選び方はとってもシンプル。直感を信じるのみです。

 

 

香文化の中では、香りを「聞く」と表します。

 

天然香木の2つと同じものの無い香りと、創造的にブレンドされた香料の生み出す複雑で深い香りに、ただただ感性を研ぎ澄まして感じる。

 

茶会の席でも香は大切な要素のひとつ。お香との出会いは、まさに一期一会です!

 

 

 

 

 

ステップ1

 

 

まずは気に入った香りを見つけて、お部屋に焚いてみることから。

 

ベーシックなスティック型のものなら、不燃性のお皿に香立てを置き、お香を立てて火をつけるだけ。

しっかり燃焼が始まったらそっと手で仰いで火を消し、あとは香りが尽きるまで楽しむだけです。

 

途中で燃焼を止めたい時は、先端を折ってしっかり水につけて消火し、残った分はまた次の機会に使えます。

 

 

自分の好きな香を焚いて過ごす時間は、想像以上に豊かなもの。

休日ゆっくりと過ごしたい時や、寝る前のちょっとした時間のリラックスなど、深い香りに包まれて気分を整えたい時に、お気に入りのお香を添えてみましょう。

 

 

 

 

 

ステップ2

 

 

気分が整ったら、次のステップへ。

大切な人にも香りのおもてなしをしてみましょう。

 

玄関で焚いて訪れる人をほっとくつろげる香りで歓迎したり、

お茶菓子と共にお香の香りでティータイムを演出したり。

 

手紙や名刺をお香と共に箱に入れて置き、ほのかな香りとともに渡すのも素敵です。

 

 

 

 

 

ステップ3

 

 

日々のちょっとした知恵としてお香を使ってみましょう。

 

平安時代には、伏籠(ふせご)と呼ばれる棒を組んだ物に着物を掛け、その中で香を焚き香りを移していました。

現代の私たちは、クローゼットやタンスの中に匂袋を入れて、衣類やタオルにほのかに香りを移すことができます。

 

扇子やハンカチなどの小物に香りを移すのも、自分が香りを楽しむだけでなくエチケットにもなりおすすめです。

 

 

湿気にさらしてしまったり半端に余ってしまったりしたお香なども、すぐに捨ててしまわずにもう一役。

まとめて布袋などに入れ、靴箱の中など湿気がこもりやすい棚に入れておけば、ニオイ対策にもなります。

 

 

 

 

 

 

 

深い香りでゆったりとした時間の流れを感じ、心整うお香の時間。

繊細な和の心とともに、日々の暮らしをちょっと豊かにしてみませんか♪

 

 

※お香を楽しむ際には火の元に十分にご注意ください。

 


\この記事を書いた人/

大塚麻子

オーダーメイドトリートメントを提供する『Aroma Berta』主宰
英国IFPA認定・国際プロフェッショナルアロマセラピスト
日本心理学会認定心理士

自然の恵みアロマとハーブの魅力と、毎日を心地よく過ごすための利用法をわかりやすくお伝えしていきます♪


 


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